CULTURE
マリメッコを生んだのは強くて繊細な女性でした。
June 13, 2016 | Culture | a wall newspaper | text_Shoichi Tamaru editor_Wakako Miyake
グラフィカルなテキスタイルで有名な〈マリメッコ〉の創設者アルミ・ラティアの半生に迫る映画が公開です。
作っているのはライフスタイル!
北欧を代表するテキスタイルブランド〈マリメッコ〉。その創業者であるアルミ・ラティアのドキュメンタリー映画だと思い観覧すると、マリメッコのイメージが明るく快活なゆえに、その内容に正直違和感を感じる方もいるかもしれない。たがその内容は実に興味深く、何度も見たくなるような要素にあふれている。
まず監督でもあるヨールン・ドンネルはマリメッコの役員を務めていた人物で、近くで接していた彼だからこそ描くことができたアルミの愛情あふれる人物像が興味深い。時にワガママで常軌を逸していると思われるようなアルミの言動だが、それは彼女が「生きる」ことに対して全力で行動した結果であり、その姿は儚くも美しく感じられる。まだ女性の社会進出が珍しかった1950年代に、フィンランドという国のイメージさえも一新してしまったマリメッコを立ち上げた彼女は、繊細さを抱えつつも自分自身のクリエイションを信じ突き進む。仕事を愛し、人を愛したアルミは、その深い愛情の見返りを求め常に苦しんだが、その役柄を演じる女優ミンナ・ハープキュラの葛藤も描かれているのも非常に興味深い。映画の最後にアルミが話す言葉は、彼女の思いなのか、ミンナの思いなのかわからないほどにシンクロする。
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