CULTURE
独占インタビュー:ブライアン・イーノが作ったアンビエントの新しい型。
May 22, 2016 | Culture | a wall newspaper | photo_Erina Fujiwara text_Katsumi Watanabe
アンビエントの金字塔『Ambient 1 : Music for Airports』のブライアン・イーノが、精力的に活動する中で見いだしたこれからの音楽体験のかたちとは。独占インタビューです。
Q 最新作『The Ship』は、あなたが70年代後半に提唱されたアンビエント・ミュージック(環境音楽)を基軸としながらも、歌や声などを入れた、新しいアプローチを聴くことができますね。
僕自身が深い興味を抱いているアイデアが二つ混在している。一つは指摘するように、アンビエントのように聴こえるサウンドと歌を組み合わせたこと。これまでやったことのなかったアプローチだね。ほかにもアンビエントを作っている作家もいるけど、歌とのコンビネーション自体、あまり作られてこなかったんじゃないかな。
Q 歌や声のパフォーマンスは、イーノさんご自身で?
そうだよ。40年以上も音楽を作ってきたけど、自分の声を入れてみようなんて、ただの一度も思いつかなかった(笑)。
Q 作曲家やプロデューサーとしての印象が強いので、あなたの声だと知ったときは驚きました。
シンガーじゃないからね(笑)。僕が作るアンビエントには、コード編成やリズムといった本来歌をまとめるような目印が存在しない。そういう音楽の光景の上を自由に声が浮遊するというのは、言葉にすれば風変わりだけど、歌ってみると非常に解放感を覚えるものでね。最初に歌い始めてみたところで「これなら単語を好きなように引き延ばせるし、やりたいだけ同じ一音を歌い続けることもできる」という点にも気づかされた。僕はリズムやコードによる構造に縛られずに済んだというわけだ。
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