ART
”爆発”という偶然で描いた、美しく咲く「夜桜」。蔡國強展
July 11, 2015 | Art | a wall newspaper | photo_Junpei Kato movie_Takuya Neda text_Naoko Aono editor_Akio Mitomi
日本では7年ぶりの個展となる蔡國強。開催を控えた横浜美術館に爆音が響きました。
爆音がとどろき、床の上の紙に炎が走る。横浜美術館で行われた蔡國強の火薬ドローイングの制作風景は迫力満点。着火から火がほぼ消えるまでは一瞬の出来事だ。世界的なアーティストである彼の、久しぶりの日本での個展のために作ったものだ。
今回のモチーフは夜桜。繊細な濃淡のある画面はまるで水墨画のようにも見える。
「美しくてはかない桜に対して、火薬は暴力的。一方で咲いてすぐに散る花と一瞬で爆発する火薬という共通点がある。そのつながりが面白いと思いました」
蔡は長年、火薬ドローイングを手がけている。それは彼が影響を受けたという老子の思想に関係しているのだそう。
「自然に任せること、自然のエネルギーと一体になることが老子の教えです。偶然の力に頼る火薬ドローイングではすべてをコントロールすることはできない。自然の力に対抗するのではなく、対話しながら作っていくのです」
今回のモチーフは夜桜。繊細な濃淡のある画面はまるで水墨画のようにも見える。
「美しくてはかない桜に対して、火薬は暴力的。一方で咲いてすぐに散る花と一瞬で爆発する火薬という共通点がある。そのつながりが面白いと思いました」
蔡は長年、火薬ドローイングを手がけている。それは彼が影響を受けたという老子の思想に関係しているのだそう。
「自然に任せること、自然のエネルギーと一体になることが老子の教えです。偶然の力に頼る火薬ドローイングではすべてをコントロールすることはできない。自然の力に対抗するのではなく、対話しながら作っていくのです」
火薬ドローイングの制作風景
また今回出品されている《壁撞き》という作品は、空中を飛んでガラスの壁にぶつかって落ち、再び立ち上がり透明な壁に挑む狼のオブジェ。99匹の狼は人間の悲劇を象徴しているのだという。
「見えないけれど越えられない壁を越えようとして落ちてしまう。人間社会の悲しみを直接的に表現するのではなく、透明なガラスに託して象徴的に表現しました」
中国から日本を経由して、世界を舞台に制作している蔡國強。今回の個展でも日本を中心に、さまざまな文化が複雑に絡み合う。混迷の度合いを深める世界を違う視点から見せてくれる。
「見えないけれど越えられない壁を越えようとして落ちてしまう。人間社会の悲しみを直接的に表現するのではなく、透明なガラスに託して象徴的に表現しました」
中国から日本を経由して、世界を舞台に制作している蔡國強。今回の個展でも日本を中心に、さまざまな文化が複雑に絡み合う。混迷の度合いを深める世界を違う視点から見せてくれる。
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