ART
べルサイユ宮殿の展覧会、この夏はオラファー・エリアソンです。
August 12, 2016 | Art | a wall newspaper | photo_Anders Sune Berg © 2016 Olafur Eliasson text_Chiyo Sagae
毎年、現代芸術家を招いて広大な敷地全体を展覧会場に変身させるべルサイユ宮殿。今夏はアイスランド人アーティスト、オラファー・エリアソンによる繊細かつ大胆な発想の展覧会が話題を呼んでいる。
「歴史的にベルサイユ宮殿は社会的な“観察の場”。それは建築や構造による“視覚のネットワーク”として今に残る。ならば今日、ここに人は何を見る?」。そんな作家の自問から生まれた作品群。ビジターは歩き、覗くなど、自身のアクションを通して作品に触れることで新たな知覚が呼び覚まされる。
宮殿内のテーマは「視線」。鏡と光を介して発見する思いがけない自分自身や空間の様相など、身体的経験により人の意識の変化を促す、作家得意のマジックに満ちる。屋外では造園家ル・ノートルが築いた壮大な庭に、滝、霧、氷など「水」にまつわる作品を介して未知の表情を引き出した。エリアソンが読み解き、表現するベルサイユ宮は観る者の知覚を刺激してやまない。
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