青野尚子の「今週末見るべきアート」|田根剛が見せる、フランス近現代美術の70年。

フランスの近現代美術史が一目でわかる。そんな展覧会が東京・上野で開かれています。会場構成は建築家の田根剛。美術史の流れだけでなく、一人ひとりのアーティスト像がくっきりと浮かび上がる仕掛けです。

右はジャン・プルーヴェ、左はロベール・マレ=ステファンの椅子。絵画や彫刻だけでなく、建築やデザイン、映画、歌まで展示されている。

とにかくスケールの大きいフランスの美術館。ポンピドゥー・センターも所蔵作品数11万点を誇るメガ美術館だ。『ポンピドゥー・センター傑作展』はその中から1年に1作品、1作家ずつチョイスして年代順に並べたもの。20世紀最大のアート・ムーブメントの一つ、フォービズムが始まった1906年からポンピドゥー・センターが開館した1977年まで、70点の作品が並ぶ。マティス、ピカソ、カンディンスキーらアーティストはもちろん、ル・コルビュジェやジャン・プルーヴェまで多彩な顔ぶれだ。

ル・コルビュジエの絵画。彼はスイス生まれだが、この展覧会ではフランス人またはフランスで活躍した人が対象になっている。

会場構成を担当した田根は、作品ごとにアーティストのポートレイトと、書物などから引用した彼らの言葉をつけた。

「知らない作家もいたので、どんな会場構成にするかリサーチしていたときに作家のパーソナルな面も面白いな、と思ったのがきっかけです。20世紀は激動の時代です。その時代の中でアーティストが何を考えてその作品を生み出したのかを知ってもらいたい。作品に出合うだけでなく、作家との出会いや対話を楽しんでもらいたいと考えました」