青野尚子の「今週末見るべきアート」|福島「No Go Zone」の現実を浮き彫りにする写真。

荒れ果てた家や店で、いつも通りの暮らしを続けているかのような人々。街中に現れた透明なバリア。これらはすべて福島第一原発事故の避難区域で撮られたものだ。撮影したのは、東京在住のギョーム・ブレッションとパリ在住のカルロス・アイエスタの2人。2011年、東日本大震災の直前に東京に移り住み、今も住み続けているギョーム・ブレッションに聞いた。

夜間、強いフラッシュをあてて撮った作品シリーズ「光影」(2011-2013)より。水面に浮かび上がった自動車の瓦礫。 © Carlos Ayesta + Guillaume Bression

展覧会が開かれているのは銀座シャネルビル4階にある〈シャネル・ネクサス・ホール〉。会場に入ると、金網に囲まれたスペースが出迎える。壁はジグザグと蛇行して、不安な気持ちにさせる。

会場の様子。画面中央やや右の、金網でできた”ゲート”から展示スペースに入る。

作者の一人、ギョーム・ブレッションはジャーナリストの妻と結婚後、学生時代に日本語を勉強していたこともあり、2011年、フランスの放送局「フランス24」の特派員として日本にやってきた。そのすぐあとに東日本大震災と、それに続いて福島第一原発事故が発生。3月20日ごろから東北に入ったという。

展覧会の準備期間中に、インタビューにこたえてくれたギョーム・ブレッション。 photo_Junpei Kato

「最初は石巻や気仙沼など、津波の被害を受けたところをまわっていました。福島では避難所になっていた『ビッグパレットふくしま』(福島交流会館)で避難してきた人たちに『持ち出してきたものの中で大切なものは何ですか』と尋ねて、それを撮影させてもらったりしていました」

展示はシリーズごとに異なる空間構成となっている。奥に見えるのは金網だ。