ART
青野尚子の「今週末見るべきアート」|福島「No Go Zone」の現実を浮き彫りにする写真。
| Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
荒れ果てた家や店で、いつも通りの暮らしを続けているかのような人々。街中に現れた透明なバリア。これらはすべて福島第一原発事故の避難区域で撮られたものだ。撮影したのは、東京在住のギョーム・ブレッションとパリ在住のカルロス・アイエスタの2人。2011年、東日本大震災の直前に東京に移り住み、今も住み続けているギョーム・ブレッションに聞いた。
展覧会が開かれているのは銀座シャネルビル4階にある〈シャネル・ネクサス・ホール〉。会場に入ると、金網に囲まれたスペースが出迎える。壁はジグザグと蛇行して、不安な気持ちにさせる。
作者の一人、ギョーム・ブレッションはジャーナリストの妻と結婚後、学生時代に日本語を勉強していたこともあり、2011年、フランスの放送局「フランス24」の特派員として日本にやってきた。そのすぐあとに東日本大震災と、それに続いて福島第一原発事故が発生。3月20日ごろから東北に入ったという。
「最初は石巻や気仙沼など、津波の被害を受けたところをまわっていました。福島では避難所になっていた『ビッグパレットふくしま』(福島交流会館)で避難してきた人たちに『持ち出してきたものの中で大切なものは何ですか』と尋ねて、それを撮影させてもらったりしていました」
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![青野尚子の今週末見るべきアート](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fwp2022.casabrutus.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2022%2F04%2Fnaoko_aono-2.jpg&w=3840&q=75)
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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