青野尚子の「今週末見るべきアート」|祝・伊藤若冲 生誕300年!

伊藤若冲の生誕300年を記念して開かれている展覧会は代表作が目白押し。東京都美術館で開催中の「生誕300年記念『若冲展』」はブームの中でも“決定版”です。

《釈迦三尊像》(京都・相国寺)3幅を中心に、《動植綵絵》(宮内庁三の丸尚蔵館)30幅が並ぶ。

今回のハイライトは、何と言っても《釈迦三尊像》(京都・相国寺)3幅と《動植綵絵》(宮内庁三の丸尚蔵館)30幅が観客を取り囲むように並ぶ展示室だ。京都・相国寺で行われていた観音に懺悔する法要の時にはこんなふうに並んでいたとされる光景が再現されている。全33幅が一度に並ぶのは東京では初めて。圧巻のインスタレーションに興奮してしまう。

相国寺に若冲が寄進した《釈迦三尊像》。《釈迦三尊像》普賢菩薩像、釈迦如来像、文殊菩薩像 絹本着色 三幅 明和2年(1756年)以前 京都・相国寺

これらの絵は何年もかけて若冲が描き上げ、相国寺に寄進したものだ。信心深い若冲は仏への祈りを込めて最高級の画材を使い、丹念に描き込んでいる。たとえば鳥や魚の目は漆で描かれたもの。普通なら胡粉を丸く盛り上げ、墨を塗るところだ。絹地の裏に着色して絵に深みを出す裏彩色という手法も多用している。18世紀初頭にドイツで発明された人工顔料、プルシアンブルーなど、質の高い絵の具も惜しげなく使った。制作費を算定するのは難しいが、膨大な額になることは間違いない。

羽のハート型がかわいい鳳凰。想像上の動物なのに妙にリアルだ。《動植綵絵 老松白鳳図》絹本着色 一幅 141.8×79.7cm 明和3年(1766年)頃 宮内庁三の丸尚蔵館