ART
青野尚子の「今週末見るべきアート」|「説明しにくい」アートを作る、二人の英国紳士が考えていること。
December 11, 2015 | Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
東京・初台のICCで、イギリスの二人組、ジョン・ウッド&ポール・ハリソンの日本で初めての大規模な個展が開かれている。会場には彼らが謎の行為に奮闘する様子や、たくさんのボールが投げられて落ちる、といったシュールな映像が流れている。いったい何のためにこんなことを? 来日したジョン・ウッドに聞いた。
ジョン・ウッドとポール・ハリソンは1989年に美大で出会い、93年から共同で作品を作り始めた。彼らの作品は一時期、Eテレ「2355」でも放映されていたので、見覚えのある人もいるだろう。今回の個展「説明しにくいこともある」では20の作品を「パフォーマンス」「アニメーション」「物語」「映画」の4つのセクションに分けて展示している。初期の「パフォーマンス」は彼ら自身がユーモラスなパフォーマンスを繰り広げるもの。走るトラックに作った部屋の中で、オフィスチェアに座った二人が右往左往している、といった作品だ。「アニメーション」では紙やボール、水といった身近なオブジェが、何の意味があるのかよくわからない動きをする。「物語」に並ぶのはナラティブな要素のある作品。「映画」のセクションは文字通り、映画からインスピレーションを得たものだ。
「展覧会を開くにあたって自分たちの作品を見直してみると、いくつかのパターンがあることに気づいた。それでこの4つのテーマに分けると、僕たちの作品の全体像がわかりやすくなるんじゃないかと思ったんだ。でもこのテーマじゃなくて、他の分け方もできると思う。そもそも僕たちの作品は互いに少しずつ関係しあっている。最終的にはすべての作品がまとまって、一つの作品として見てもらえるといいと思う」
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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