ARCHITECTURE
【緊急特集】新国立競技場は誰がつくるのか?
November 21, 2015 | Architecture | casabrutus.com | illustration_Naoki Shoji text_Tatsuo Iso editor_Yuka Uchida
2020年の東京五輪まであと4年半。白紙撤回となった新国立競技場は果たしてどうなるのか? 同じ過ちを繰り返さないためにも、2009年からの経緯をつぶさに振り返ります。
五輪のメーンスタジアムとして使われ、東京の新しい顔となるべく計画された新国立競技場だったが、デザイン競技で選ばれた案は突如として捨てられ、設計から選び直しとなった。迷走の張本人は誰なのか。その特定は難しいが、少なくとも、関わった建築家たちは、いずれも最善を尽くしていたのではないか。
世界から集まった46案のうち、最優秀に選ばれたのはザハ・ハディドの案。個性的な作風の建築家だけに、その評価は確かに分かれる。しかし、一部の報道で言われた「アンビルトの女王」という称号ははるかに前のこと。今や世界各地で次々と主要建築を実現させている。実現が不可能だったとするのは、濡れ衣もいいところだ。
ハディドの監修のもと、実施設計までを行ったのは日建設計をはじめとする日本のチームだった。問題視されたのは工費の膨張。しかし施工者が示す金額が、設計者の想定を上回るのは、住宅の設計でもよくあること。施工者や建築主と話し合いながら、設計案を変更して金額を落としていくのは、通常の設計プロセスだ。それを十分に行えないまま、設計者たちは退場を余儀なくされたように見える。
ハディドを選んだ審査員たちも、その案に反対した建築家たちも、それぞれの立場から正しく主張した。
そしてその結果が、設計提案のやり直しとなってしまった。募集に応じたのは、わずかに2グループ。今年の末には設計が決定するが、五輪の開会式までわずか4年半しか残されていない。そしてその選考基準も、工期の短さにポイントが置かれるのだという。優れたスタジアムがつくられる道筋は狭まってきたが、その方向をさぐるためにも、ここに至るまでの経緯を振り返ってみたい。
世界から集まった46案のうち、最優秀に選ばれたのはザハ・ハディドの案。個性的な作風の建築家だけに、その評価は確かに分かれる。しかし、一部の報道で言われた「アンビルトの女王」という称号ははるかに前のこと。今や世界各地で次々と主要建築を実現させている。実現が不可能だったとするのは、濡れ衣もいいところだ。
ハディドの監修のもと、実施設計までを行ったのは日建設計をはじめとする日本のチームだった。問題視されたのは工費の膨張。しかし施工者が示す金額が、設計者の想定を上回るのは、住宅の設計でもよくあること。施工者や建築主と話し合いながら、設計案を変更して金額を落としていくのは、通常の設計プロセスだ。それを十分に行えないまま、設計者たちは退場を余儀なくされたように見える。
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